2025.11.21
自動翻訳の注意点!うまく翻訳できない用語とは?

はじめに
近年、AI技術の発展により自動翻訳の精度は目覚ましく向上し、ビジネスシーンでの活用も増えています。しかし、その手軽さゆえに、誤訳や不適切な表現が引き起こすリスクを見落とすことはできません。特に企業のWeb担当者や多言語サイト運営者、翻訳サービスの導入検討者にとっては、自動翻訳の限界を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
今回は、自動翻訳がどんな言葉の翻訳が不得意なのか見ていきましょう。
自動翻訳がうまく訳せない用語タイプ
キャッチコピー・スローガンのニュアンス消失
キャッチコピーやスローガンは、短い言葉の中に多くのニュアンスや感情が込められており、文化的な背景も反映されています。そのため、自動翻訳ではその意図が正確に伝わらず、全く異なる意味に解釈されてしまうことがあります。
- HSBCの事例: 香港上海銀行の「Assume nothing(先入観を持つな)」というキャッチコピーが、多言語展開の際に「Do nothing(何もするな)」と誤訳され、1000万ドルのリブランディング費用がかかる事態となりました。
- KFCの事例: KFCの「Finger Lickin’ Good(指をしゃぶるほどおいしい)」というスローガンが、中国市場で「Eat Your Fingers Off(指を食べてしまえ)」と誤訳された事例もあります。これは、単なる誤訳だけでなく、文化的な背景への理解不足が影響したと考えられます。
- ペプシの事例: ペプシの「Come alive with the Pepsi Generation(ペプシ世代と元気に行こう)」というキャッチコピーが、台湾で「ペプシがあなたの先祖を死から甦らせる」と翻訳された例も存在します。
固有名詞(企業名・地名・製品名・施設名・略称)
固有名詞は、その性質上、特定の対象を指し示すため、翻訳によって意味が変わってしまうことは避けなければなりません。しかし、自動翻訳システムは一般的な単語の組み合わせとして認識してしまうため、固有名詞の誤訳が頻繁に発生します。
- 大阪メトロの事例: 大阪メトロの公式サイトでは、「堺筋線」が「Sakai Muscle Line(堺マッスル線)」と翻訳されたことで話題になりました。
- 東北観光博の事例: 東日本大震災からの復興支援キャンペーン「東北観光博」の公式サイトでは、「秋田」が「tired(飽きた)」、「啄木忌」が「Woodpecker mourning(キツツキの喪服)」、「ナマハゲ」が中国語で「はげ頭病」と誤訳されるなど、地方特有の固有名詞の翻訳が大きな問題となりました。
- 福岡の地名: 「海の中道」が「I want to go to the middle of the ocean(海の真ん中に行きたいな)」と翻訳されるなど、地名が一般的な意味に置き換えられてしまうことがあります。
業界特有の専門用語・略語訳の違い
医療、法務、IT、工学など、特定の業界には専門用語や略語が数多く存在します。これらの用語は、文脈によって意味が異なる場合や、一般的な辞書には載っていない場合があり、自動翻訳が苦手とする分野です。
- 「帯」の例: 和服の紹介文にある「帯」が「belt」と翻訳された場合、日本文化に詳しくない外国人には、和服の「帯」がイメージできない可能性があります。
- 同音異義語の誤訳: 日本語の「円」が通貨単位ではなく、「circle(まるい)」という意味で翻訳されてしまうことがあります。特に文脈が断絶した単独のレイアウトで表記された場合、このような誤訳が起こりやすいです。
- 熟語・慣用句の直訳: 英語の「face the music(現実を受けとめる)」が「音に合わせる」と直訳されるなど、慣用句やイディオムは自動翻訳では意味を汲み取られずに誤訳が生じやすいです。
誤訳がもたらすリスクと多言語対応で生じる問題点
自動翻訳による誤訳は、単なるコミュニケーションの齟齬にとどまらず、企業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
- ユーザーの信頼を失う: 不自然な翻訳や誤訳が多言語サイトに掲載されていると、ネイティブスピーカーはサイトの信頼性を低く評価します。ユーザーがブラウザの自動翻訳機能を使った結果であれば、ユーザー側の選択によるものとして企業への信頼は損なわれませんが、企業が発信元で不自然な文章を公開することはデメリットしかありません。
- ビジネス機会の損失: 誤った情報提供によってユーザーが求めている情報にたどり着けなかったり、企業やサービスに対して誤解が生じたりすることで、顧客獲得の機会を逃す可能性があります。
- 法的・金銭的リスク: 契約書や医療情報など、正確性が求められる文書の誤訳は、訴訟問題や賠償責任につながる可能性があります。過去には、粉ミルクの作り方を記載したラベルのスペイン語訳の誤りにより、460万缶のリコールが発生し、企業が莫大な費用をかけて商品を回収した事例があります。
- 多言語SEOの問題: 言語ごとに最適化されたページを用意することは多言語SEOの基本です。しかし、ページ内のテキストを自動翻訳するタイプのツールでは、どの言語でも同じURL・ページとなり、検索エンジンに言語ごとに最適化されていないと判断されてしまう可能性があります。また、機械翻訳した文章を人の手でチェック・修正せずに大量に公開すると、Googleのスパムポリシーに抵触し、検索順位が上がらないだけでなく、検索結果に表示されなくなるリスクもあります。
誤訳を防ぐための実用的な機能・対策
ここからはスターキッドで実際に運用している翻訳ツール『GTranslate』の実例と合わせて具体的な対策を紹介します。
- 辞書カスタマイズ機能の活用:GTranslate には、「この文字列はこう書き換える」「この固有名詞は翻訳せずに表記を固定する」といった辞書更新機能があります。
これにより、会社名、製品名、サービス名などの固有名詞や、業界特有の専門用語の訳語をあらかじめ登録し、翻訳時に統一した表記を適用させ、誤訳や表記のバラつきを防ぎ、文書の信頼性を高めることができます。特に、企業内部でのみ通用する名称や、ブランドイメージに直結する言葉の翻訳には不可欠です。 - 翻訳に適した原文の作成:自動翻訳の精度を高めるためには、曖昧な表現や二重否定を避け、主語と述語を明確にする、一文を長くしすぎず、複数の文に分ける、新しい単語や複数の意味を持つ単語は、特定の意味に置き換えやすい言葉を使用するなど、原文を分かりやすく簡潔に記述することが重要です。
実例
スターキッドのメンバーページでは、人名などは翻訳されても読み間違いが起こらないよう名前は翻訳せず、そのまま英語表記で表示するようにしています。こうすることで、読み間違いを防ぎつつ、ブランドの統一感も維持しています。

まとめ
自動翻訳はあくまでツールであり、完璧ではありません。特にビジネスにおける重要な文書や、ブランドイメージを左右するコンテンツにおいては、人間の目によるチェックや専門家の介入が不可欠です。将来的には、AIの深層学習により翻訳精度がさらに向上し、文化的なニュアンスへの対応やリアルタイムでの同時通訳もより高度なレベルで実現されると期待されています。しかし、人間特有の感情や意図を完全に理解し、翻訳することは依然として困難な領域です。
自動翻訳と人間翻訳のそれぞれの強みを理解し、コンテンツの目的や重要度に応じて最適な翻訳手法を使い分けることが、これからのグローバルビジネスにおいては非常に重要となるでしょう。
スターキッドでは、
- GTranslate 辞書管理の仕組みを踏まえたサイト構築
- 固有名詞の保持設定や非表示設定の導線設計
- 多言語ページのレイアウト崩れ対策
- 自動翻訳と手動翻訳のハイブリッド運用
- 法律事務所・医療・公共団体に向けた誤訳リスク対策
など、実運用に直結した多言語対応を制作段階から組み込むことができます。
「ただ翻訳が動けばOK」ではなく、“誤訳しない仕組み”を作ることが多言語サイトの品質を決める
――その視点を大切にしています。
制作や改善に関するご相談があれば、いつでもサポートいたします!

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